【お悩み相談】パーソナルカラーより、顔に似合う色を選んだ方がきれいに見えるって聞いたんだけど、どちらが正しいの?
こんにちは! パーソナルスタイリスト・公認心理師の久野梨沙(@RisaHisano)です。
今回は、私のPodcastのリスナーの「プリン」さんから頂いた以下の質問についてお答えしていきたいと思います。
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この記事の内容
SNSの「断定系投稿」。ファッションでは本当に危険
みなさんもご存知の通り、SNS、特にXでは「断定系」の投稿が目立ちますよね。
「〇〇の方が綺麗!」「これが正解!」みたいな、ズバッと言い切る表現の方が人の目を引くのもあって閲覧数が高くなる。そうするともっと見てもらいたくてどんどん断定が過激になる…。こういうスパイラルに入ってしまっている人をかなり見ます。
でも、プリンさんがおっしゃる通り、こういうファッションに関する投稿のほとんどは正解が「人による」「場面による」というのが正直なところ。万人に断定できるような「正解」は残念ながらほとんどないんです。
だから、私自身も発信するときは「このタイプの人にはこう」「このタイプの人にはこう」というように、ある程度タイプ分けをした上で提案するようにしています。相手を絞り込めば、断定できることも幾分出てきますから。
でも、やみくもに正解を断定するようなSNSの投稿を信じてしまった人が、実はその正解に当てはまるようなタイプでなかった場合。
あるいは「場面による」に当てはまらない場合、それは間違った情報になってしまうわけで。
だから、発信する側がもっともっと工夫しないといけないんです。
「きれい」という言葉を雑に使うことの弊害
で、この投稿の具体的な問題点を考えてみましょうか。
それは、「きれいに見える」という言葉が、大雑把すぎること。「きれい」という言葉を雑に使ってしまってることなんです。
どういう状態を「きれい」と言っているのか、その定義をもうちょっと細かく言語化していれば、見る人に誤解を与えない発信になったはずなんですよね。
某アンミカ氏の名言、ありますね。
「白って200色あんねん」。
それと同じように「きれい」にも200通りの定義があると思っていいんです。
ファッションやおしゃれに関する言葉は、そのままその人のファッションやおしゃれの捉え方になっていきます。
だから、「きれい」という言葉をこんな風に大雑把に使っていると、ファッションを見る目も大雑把になっていく。それはおしゃれの上達を妨げます。
だから特にプロのスタイリストやイメコンは注意が必要。
私はパーソナルスタイリングサービスでもお客様に伝える言葉には本当に慎重になりますし、必要に応じて「今言った『〇〇』という言葉の意味は…」と細かく説明しますし、お客様にも「今『〇〇な感じのおしゃれが好き』と仰いましたが、その〇〇ってこういう意味で捉えて大丈夫ですか?」って確認します。
それは、言葉が認識を作るし、言葉が今の認識の状態を表すから。
だからfor*styleパーソナルスタイリストスクール(FPSS)でも、言語化をかなり重点的に教えています。
言葉遣いが大事な理由はここにあるんです。
パーソナルカラーと顔立ち、それぞれの「きれい」の特徴
パーソナルカラーシステムに則って色を選んだときと、顔立ちに似合う色を選んだとき。
それぞれで実現される「きれい」は、種類が違う、ということです。
ではそれぞれ、どんな「きれい」なんでしょうか?
パーソナルカラーが作るのは「健康的な」きれいさ
パーソナルカラーを使うと実現する「きれい」さは、「肌色に調和している」という意味での美しさです。
もっと具体的に言うと、印象が健康的に見える、血色が良く見える、若々しく見える、といったもの。
パーソナルカラーを知ると肌色に調和している色がわかります。
色同士が調和するとお互いに美しく見えるようになるのですが、それが顔に適用されると、血色が実際より良く見えたり、顔色全体が明るく見えたり、白目がより白く見えたりします。
その結果、お顔が健康的で若々しい印象になるんです。
一方、顔立ちに合う色を選んだときの「きれい」さは、その人の「雰囲気を引き立てる」という意味でのきれいさです。
というのも、色にはそれぞれ独特の雰囲気があるから。これを「色彩心理」と呼びます。
例えばピンクはかわいらしい印象、パープルは大人っぽい印象やちょっと上品な印象も、といった具合に、特定の色を見たときに、ほとんどの人が共通して同じようなイメージを持つのです。
そして顔立ちにも同じように雰囲気がありますよね。かわいらしい雰囲気とか、大人っぽい雰囲気とか、クールでシャープな雰囲気とか。
その顔立ちの雰囲気に合った色彩心理を持つ色を使うことで、その人の持つ雰囲気を最大限引き出すようなきれいさが生まれる、ということです。
どちらの「きれい」が良いかは、その人の目的やTPOで変わる
ここまで知れば、パーソナルカラーに基づいた色選びのほうがきれいに見えるとか、顔立ちの雰囲気にに合わせたほうがきれいに見えるとかいう問題ではなく、どちらが自分の目的に合っているかが大事だということがわかるかと思います。
例えば、その人が自分の顔立ちの持つ雰囲気を好んでいなければ、当然顔立ちに合う色は使わない方がいいですよね。
だって、使ってしまったら、好きでもないその雰囲気を引き立ててしまうことになるんですから。
また、TPOによっておしゃれの目的が変わることもよくありますよね。であればその目的によっても答えは変わってくるはず。
お仕事の場面では自分の顔立ちの印象よりも、健康的に見える方がメリットが高そうだから、パーソナルカラーを優先する。
でもプライベートでは、自分の顔立ちから出る雰囲気が好きだから、それに合わせた色を選ぶ…なんて使い方も私はよくご提案しています。
さらに、「性格」も大切な要素
さらにフォースタイルでは、その人の性格に合った色を使うという視点も大切にしています。
パーソナルスタイリングの現場でよく出会うのが、シャープな顔立ちで一見とっつきにくく見えちゃうんだけど、実はすごくざっくばらんな性格で親しみやすい、というように顔立ちと実際の内面にギャップがあるお客様。
そういう方の場合、その人の顔立ちに合う色を使えば、せっかくの親しみやすい性格が伝わりにくくなってしまう。つまり、実際の性格とは真逆な印象を強めることになってしまうんです。
そういう場合には、敢えてパーソナルカラーでも顔立ちに合う色でもなく、その人の性格を表現できる色を使うという選択を取ることも大いにあり得ます。
プロのスタイリストとして大切なのは、お客様のニーズに合った選択をすること
そう、結局のところ、全部見なきゃいけないんです。
こういったら元も子もないし、絶対にXでバズらない答えですけど😂、パーソナルカラーも顔立ちも全部大事だし、最終的にはその人によって正解が変わる。これが真実。
簡単な答えを知りたい。こうすれば良いよ、と言い切って欲しいっていうのはよくわかるんですけどね…。言い切って欲しいなら、やっぱりSNSで答えをさがすべきじゃないんですよね。
だってその投稿者はあなたのことを見て言っているわけじゃないから。
パーソナルカラーの個性が強い方もいれば、顔立ちの個性の方が色素の個性よりも強い方もいる。見た目のことだけ考えたとしても、これら両方診断した上で、どちらに重きを置くべきか客観的に判断する必要があります。
さらにその上で内面も考える必要があるわけで。
そうなると、まずはお客様のニーズって何なのか、それを引き出すことが必要なんですよね。
自分のおしゃれを考えるなら「私はこのおしゃれを通じてどうなりたい?」を考えることから始めるべきだし、プロのスタイリストやイメコンであれば、それをお客様から引きだす技術が必要。
外見的には何が似合うのか、内面的にそれを使っても違和感はないのか、全部見た上で、じゃあその人にとってどんな色の使い方がその人の「きれい」を表現できるのかを決定していく、ってプロセスが欠かせないわけです。
SNSでは「目立つ投稿」と「プロとしての誠実な投稿」を見分けられるようにしよう
だから私としては、プロとして発信するなら「〇〇の方がきれい」というような雑な表現ではなく、得られるメリットをきちんと言語化して発信する方が誠実だと思っています。
プリンさんが教えてくれた投稿がプロによるものじゃないなら、雑な言葉遣いでも仕方ないとは思いますが、やはりそれは「あなたにとってはそうなんだね」以上の意味は持たないし、
もし仮にプロによる投稿なのであれば「こういう大雑把な認識でおしゃれを捉えている人にアドバイスをもらうのは危険かも」と判断できるようになった方がいい。
本当に力があるプロなら、「この場合にはこうした方がいい」「この効果を求めるならこうした方がいい」というように、その人が求める「きれい」に合わせて提案ができるから。
そういう人の発信は断定形になりづらく、だからバズらないし目立たないけど、ぜひそれを見分けられるようになって欲しいなと思います。
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