見落としがちなコーディネートの落とし穴。それは「フォーマル度」を確認すること

 

こんにちは!
for*styleパーソナルスタイリストスクール(FPSS)代表の久野梨沙です。

 

見落としがちなコーディネートの落とし穴。それは「フォーマル度」を確認すること

 

 

早いものでFPSS第14期生の皆さんも、入門講座の授業が残すところあと1回となりました。

入門講座ではファッションの歴史やアイテムの勉強、型紙や生地、縫製や取り扱いの知識と勉強を進めてきて、ようやく最後にコーディネートの理論を学びます。

先日の授業からはいよいよコーディネート制作の宿題がはじめて出されました。
やっぱり私たちスタイリストの本分は「コーディネートを作ること」ですから、この課題が始まると、生徒も私も「いよいよだな!」と気合いが入ります。

 

洋服は全員毎日着ていますよね。毎日当たり前のように着るからこそ、そのコーディネート方法を義務教育で習ったりはしません。

美術の授業はあるのに、その中でコーディネートについて学ぶことはありません。
でも、美術で学ぶアートと同じように、コーディネートにも美しく見せるための理論があります。

その理論を学んで、それに則って作ることで初めて、あらゆる外見の、あらゆる好みを持ったお客様にあわせた幅広いコーデに仕上げることができるわけです。

 

毎日自分の服を着るときは、当然ですがいちいち理論なんて考えていません。

感覚や経験値で決めています。そこから、理論を通して頭で考えてコーディネートを組めるようになるのが、FPSSでのコーデ課題の目標です。

使う頭の回路が全く変わるので、はじめは皆さん苦労します。
ただ、その中でのつまずきって、結構共通性があるものなんですよね。逆に言うと、このつまずきポイントをクリアするだけで、「素人のコーディネート」は脱出できる、というわけで。

この記事では、その「つまづきポイント」についてちょっと話してみようかと思います。

 

 

コーディネートの完成度を左右する「フォーマル度」とは?

 

理論でコーディネートを組み始めると、だいたい「おおざっぱに見れば良く見えるんだけど、しっかり見るとなんかチグハグ」なコーデがたくさん出来上がってきます。

おしゃれが好きではない・詳しくない人から見れば「まぁこれでいいんじゃない?」というコーデですが、プロでなくてもちょっとおしゃれが好きな人・得意な人から見れば「どこがどうとは上手く言えないけど、何かおかしい」と感じるようなコーデです。

そのおかしさの原因の多くは、使ったアイテム同士のフォーマル度が不揃いなことです。

 

まず、「フォーマル度とは?」というところから説明しますね。
フォーマル度、ってのは私がそう呼んでいるだけの私の造語ですが、「そのアイテムのフォーマルさの度合い」を意味します。

「フォーマル」の逆は「カジュアル」です。

 

超フォーマルな服は、男性でいえばタキシード、女性で言えばドレス。
これが洋服会での最上級フォーマルですね。その次にビジネスで着るようなネクタイをつけたスーツスタイルがあります。
その反対で最もカジュアルな服って言ったら、それこそスポーツウェアとかアウトドアウエアになるわけです。

そしてその間にはフォーマルからカジュアルへのグラデーションがあり、様々なアイテムが存在しています。
そしてコーディネートとして洋服や小物を組み合わせるときには、それぞれのアイテムのフォーマルさやカジュアルさの度合いをある程度揃えないと、チグハグになるのです。

タキシードのジャケットにサッカーユニフォームのパンツを合わせたら誰が見てもおかしいですよね?
これほど極端でなくても、それと同じようなことを、知らず知らずのうちにやっていることがあるのです。

 

逆に言うとフォーマル度を揃えるだけで、コーディネートはそれだけでかなり美しくまとまります。
この傾向は特に、メンズファッションにおいて顕著です。

 

メンズファッションでは、レディースファッションに比べて存在するアイテム数が非常に少ないですよね。
女性向けの服はボトムス1つ取っても、スカートもあればパンツもあれば、ガウチョ的なものもあります。

本当に種類が数限りなくありますが、メンズって、それに比べてアイテム数としてはかなり限られています。
その分、アイテム同士の細かなフォーマル度合いの違いに配慮しないといけない。
少しのズレが、見た目に及ぼす影響が大きくなりやすいんです。

だから、フォーマル度の不揃い感は、メンズ服をスタイリングし慣れてない女性スタイリストの卵が特にやりがちなミスです。

 

先日ツイートもしたんですが、一つ例にとってご説明しますね。

 

 

フォーマル度を揃えると、スタイリングはこんなに見違える!

 

先日の授業では、こちらのようなベーシックな白カットソー+黒いパンツを基本として、ここにアイテムを加えていくことでスタイリングを完成させましょう、という課題を出しました。

もちろん、どんな人がどんなシーンで着るかといったテーマを設定した上で作ります。

 

見落としがちなコーディネートの落とし穴。それは「フォーマル度」を確認すること

 

こういう場合、まずこの基本となるアイテムの「フォーマル度」をしっかり分析しておくことが必要です。

例えば、以下の様に。

 

✅カットソーは色はベーシックだが、襟ぐりと袖口に太めのリブがついているのでデザイン的にはカジュアル要素が強い。

✅ただし素材は目が詰まった綿なので、カジュアルデザインの割にはややきれいめコーデもできるポテンシャルあり。

✅パンツも、よく見るとウエスト近くに小さなポケット=コインポケットあり。ジーンズやミリタリー系のチノパンによくあるディテールなので、これもパンツもカジュアル要素が強いと判断できる。
✅素材も綿らしいシワ感があるので、その点でもカジュアル要素強い。

✅ただし、色がムラのない真っ黒なので、カジュアルなコットンパンツにしてはこちらもややきれいめコーデはできそう。

 

これらのことからこの基本アイテムは一言で言えば「少しきれいめにもコーディネートできそうなカジュアルアイテム」と判断できるわけです。
その上でコーデを組んでいく必要があるのですが、このように細かく分析しないと、ざっくり「モノトーン=きっちりしたコーデもOK」と判断してしまいがちです。

 

見落としがちなコーディネートの落とし穴。それは「フォーマル度」を確認すること

 

こちらは実際に生徒さんが作ったコーデを私が改善していった様子です。
向かって一番左のコーデが、生徒さんが作ったコーディネート。

見事に、かっちりとしたアイテムと組み合わせてしまっていますよね?

合わせているジャケットはスーツとして着用できるようなかなりフォーマル度の高いデザインですし、カーディガンもスーツジャケットのインナーに着てもおかしくないかっちり感。
でも、どことなくカジュアル感も出さなきゃ…という感じで足元にスニーカーを置いている。この辺がチグハグ感に繋がってしまうのです。

 

そこで真ん中のように、ジャケットをコーデュロイ素材のカジュアルなデザインのものに変えてみる。
マフラーも、ランダムボーダーのカジュアルデザインに。
それだけで、基本アイテムのフォーマル度に近いアイテムが増えたので、まとまり感が出てきます。

 

最後、一番右は、設定したシーンに合わせて思い切り改善したコーデです。
今回は「妻とのアフタヌーンティーデート」というテーマだったため、そこまできっちりする必要はないため、ジャケットはダブル合わせのニットカーディガンに変え、スカーフを巻くことに。

靴は逆に白いスニーカーではカジュアルすぎなので、少しフォーマル度を強めてスウェードのチャッカブーツに。

こんな風に、基本アイテムに向かって
⚠︎カジュアルすぎるものはフォーマルに
⚠︎フォーマルすぎるものはカジュアルに
動かして調整することで、コーディネートがすっきりまとまっていくんです。

 

こんなことを簡単にツイートしたら、卒業生さんからもこんなリプが…

 

 

印象が激変する理由を、こんな風にしっかり言語化して教えられればすっきりしますよね!
教えるときに「なんかコレじゃ変だからこっちの方がいいよ〜」的な曖昧な言い方は絶対したくないので、できる限り細かく言葉で伝えるようにしています。

だってそうしないと、生徒が卒業したときに、お客様におしゃれの方法を教えることができないですもんね。

 

 

こんなコーデ添削を、実際に見られる機会をご用意しました!

 

少しでもFPSSで学べることを知って欲しくて今回こんな感じでブログにしましたが、実際の授業で伝えていることはもちろん、もっともっとたくさんあります。

が、ブログには書ききれない!長くなりすぎる!ww

 

なので、定期的に入学前の皆さんに、見学できる機会を作っています。
そのお知らせはLINEでお送りしていますので、ぜひ以下から登録しておいて下さいね!

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執筆者プロフィール

久野 梨沙
久野 梨沙for*styleパーソナルスタイリストスクール代表
株式会社フォースタイル 代表取締役社長/一般社団法日本服装心理学協会 代表理事/跡見学園女子大学 兼任講師/公認心理師

服装心理学®に基づくパーソナルスタイリングの第⼀人者。大学で心理学を研究した後、大手アパレルメーカーの企画職を経てスタイリストに。社団法人日本服装心理学協会の代表として、装いが人の心に与える影響を研究する「服装心理学®」の啓蒙活動にも尽力。自己肯定感を高めるファッションカウンセリングや、服装を用いた印象コントロールに定評がある。著書に「最高にしっくり似合う服選び」(学研プラス)など。
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