ワードローブ診断レポートの添削から学ぶ、プロのパーソナルスタイリストになるためのポイント
こんにちは、for*styleパーソナルスタイリストスクール(FPSS)代表講師の久野梨沙です。
FPSSでは、ファッションの基本理論や似合う服の選び方、服装心理学などの知識面を学ぶだけでなく、お買い物同行やワードローブ診断といった、パーソナルスタイリスト・イメージコンサルタントに必須のサービスを提供する練も行います。
ただいま開講中の16期では、先日、ワードローブ診断をモニターさんに実施し、そのレポートを作るという課題に取り組んでもらいました。
在学中に実践まで行うことで知識の理解度が確認できるだけでなく、サービスレベルの引き上げも図れます。
特に、レポート類は作る人の性質が出やすいものです。それが良い方に働けばよいのですが、お客様にとってわかりづらいなどのデメリットを生んでしまうことも。
そうしたことをしっかり指摘してもらえるのも、FPSSに入る魅力の一つです。
今回は、16期生のAさんの作ったワードローブ診断レポートをご紹介しつつ、それに対して行ったアドバイスを公開します。
プロとして必要なスキルと心構えについて、理解できるはずです。
これからパーソナルスタイリストやイメージコンサルタントを目指す方、ファッション関連の仕事に興味がある方は是非参考にして下さい!
目次
ワードローブ診断レポートとは?
まず、ワードローブ診断レポートについて簡単に説明しましょう。
これは、お客様のの持っている洋服や小物を分析し、処分や整理のアドバイスをしたり、その人に合ったスタイリングや新しい服の提案をするサービス。
なかなかお客様自身ですべてのワードローブを取りだして冷静に分析するのは、難しいものです。
だからこそとても需要が高く、プロのパーソナルスタイリスト・イメコンとしては、できるようになっておきたいサービスなんです。
今回、FPSSの16期生Aさんが作成したワードローブ診断レポートがこちらです。
この診断レポートについて、私が行ったアドバイスは以下の4つでした。
1. お客様の目的を明確にする
Aさんのレポートを見て、まず私は
「カウンセリングの段階で、ワードローブ診断の目的をちゃんとすり合わせをしましたか?」
と質問しました。
なぜなら、レポートを読んで、ここに書かれていることはスタイリスト自身が分析したいことなのか、それともお客様がやってほしかったことなのか……が、はっきり見えてこなかったからです。
つまり、レポート内で「お客様の目的」が明確になっていないんですね。
例えば、「不要な洋服を処分する」「新しいアイテムを買い足す」といった目的を、お客様と一緒に決めていく必要があります。
これは、レポートの方向性を決める重要な要素。
これがないとレポートが的外れなものになってしまいます。
ワードローブ診断に限ったことではありませんが、意外とスタイリストがやるべきと思っていることだけをサービスとしてやってしまう人が多いものです。
そうではなく、お客様がお金を払ってまで得たいと思っているものは何かかをしっかりと捉え、それを確実に提供できるようになることにすることが何より大事なんです。
レポート内で似合う服の診断もされていますが、極端な話、お客様が「似合う服が着たい」と思っていなければそれすら必要ない、ということ。
その分の時間を、お客様が本当に必要としていることに回したほうがよいんですよね。
2. お客様の悩みに寄り添う
さらに、レポートを作成する際は、常にお客様の悩みに寄り添うことが大切。
例えば、この、「トップスとボトムスの合わせ方に悩む」というお客様のお悩み。
せっかくヒアリングできているのに、その原因についてレポート内で深く掘り下げられていませんでした。
このお悩み一つ取っても、
- 色や柄の組み合わせに自信が持てない
- 形のバランスがわからない
- 好みのコーディネートがイメージできない
などなど、いろんな原因が考えられますよね。
お客様の悩みの根本原因を理解し、より的確なアドバイスをすること。
それはワードローブ診断レポートに求められている最低限の内容です。
3. 専門用語や基準を丁寧に説明する
パーソナルスタイリストにとって当たり前の知識や基準も、お客様にとっては新しい情報かもしれません。
そのため、専門用語や基準については丁寧に説明する必要があります。
例えば、この部分。
FPSSで、「ワードローブの中で、トップスとボトムスの比率が2:1くらいだと着回しがしやすい」ということを学んだので、「お客様のワードローブは良いバランスになってますよ〜」ということが伝えたくて、書いた文章です。
でもそもそも、スタイリストがちゃんと説明しなければ、お客様はこの比率がベストだとは知らないわけで。
その状態でこの文章だけ書かれても「???」ですよね。
ここは、「トップスとボトムスの理想的な比率は2:1で、これによって着回しがしやすくなります」といった具体的な説明を加えるべき、ということです。
こんな風に、人って自分が知っていることに関して説明を忘れてしまうことが結構あります。
特にこのレポートを作ったAさんのように、元々感受性が強く人の気持ちに敏感な人は、意外とこういう伝え漏れが多い!
なぜかというと、相手と自分との間に境界線が引けていないことが多いんですよね。一体化しちゃうというか。
だから、なんとなく、自分が知っていることは相手も知っているような気になってしまう。で、言葉足らずになっちゃうんですね。
「気遣いができる」とか「空気が読める」といわれて来た人ほど、説明不足になりがちなので、ここはぜひ気をつけて欲しいところです。
4. 具体的で実践的な提案をする
最後に、「とても良いページなのに惜しい〜〜〜〜!」という話をしたのがこちら。
柄物のトップスをたくさん持っているお客様に、柄の種類によって小物を変えるとより洗練されるということを伝えたページです。
小さな柄のほうは細かい網目のストローバッグを合わせてモチーフの大きさを揃え、曲線的な柄が多いので丸みのあるスニーカーを合わせて形状も揃えることで統一感を出しています。
その逆に、直線的な柄の方は、合わせるアイテムも直線的なものを選んでまとめているわけです。
……が!そのことが文章で書かれていないので伝わらない!!
レポートをお渡しするときに口頭で説明するのだとしても、後から読み返しても思い出せるようにしておいた方がいいですよね。
こういう「言語化」を怠ってしまう場合、往々にしてスタイリスト自身も感覚的にコーデを組んでいるだけだった、ということがあるものです。
スタイリストがその提案は理論に叶っているものなのかを自分で確認するためにも、言語化しておくのはとても大切なことなんです。
まとめ
ワードローブ診断レポートの作成は、パーソナルスタイリストやイメージコンサルタントの重要なスキルの一つ。
お客様の目的を明確にし、悩みに寄り添いながら、わかりやすく実践的なアドバイスを提供することが大切です。
これらのポイントを押さえることで、お客様の満足度を高めリピート率も増えますし、言語化する過程を経ることでスタイリングスキルの成長にもつながります。
FPSSでは、このようなレポート作成のスキルはもちろん、お客様とのコミュニケーション力や実践的なスタイリングスキルを総合的に学ぶことができます。パーソナルスタイリストを目指す方、ファッションに関わる仕事に興味がある方は、ぜひFPSSでスキルアップを目指してみてください!
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